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by redzinger
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ヘドウィグ♪

4月4日、新宿FACEにて、
ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ(山本耕史主演)の初日を観てきました。

ワタシのヘドウィグ歴は…

映画 → 三上博史主演舞台 → 再演 
    → 山本耕史主演舞台 → 今回の再演

となるわけで、前回もブログに書いた覚えがあるんですが、
山本さんのヘドウィグは、どこまで行っても正統派のヘドウィグかな、と。


歌も抜群にうまいし、舞台の完成度も高いし、面白い…んだけど、
何かこう…食い足りない。

なんでだろう???と、ずーっと考えてました。


多分、ワタシは映画の「ヘドウィグ」を、ぞっこん愛しているので、
そのヘドウィグが持っている毒気というか、どぎつい存在感が、
山本さんからは、あまり感じられないから、じゃないかと。







ヘドウィグの物語は、自己受容の物語だと思います。

それも、自分が望んだわけでもない「男→女の性転換手術」に失敗し、
親しい人にことごとく見捨てられ、異形の人と成りはてた一人の人間が、
ありのままの自分を受け入れていくまでの、苦闘と愛の物語。

とまあ、ワタシ的には解釈しているわけですが。

この「異形」、言い換えれば「はみ出し者」「アウトロー」が、
自分に嘘をつかずに、かといって開き直るわけでもなく、
自殺するでもなく、とにかくフツーの社会に適応して生きていこうと努力する、
その苦しみと絶望感…

それが山本さんの舞台では、あまり感じられないのでした。
風変わりなオカマの身の上話?みたいな範疇で終わってるような。


映画で最初にヘドウィグを観たとき、
ワタシは目をそむけたくなったことを覚えています。

痛々しすぎる…

でも、映画の中で、物語が進むにつれて、
ヘドウィグの(一般的には「美」とは言われない)美しさに、
目が離せなくなったことを覚えています。


山本さんのヘドウィグは、その「痛々しさ」がないんですね。
むしろ、たくましい、元気いっぱい、パワフル!な感じ。

三上博史のヘドウィグには、その痛々しさがあふれていたと思うんですが。
(そのぶん、好き嫌いはあると思いますが)

だからこそ、Midnight Radio で泣けたんですよね。
苦しみの果てに、彼がたどりついた境地に共感できる。

ただのオカマ(つーたらオカマさんに失礼だが(^^ゞ)の
「みんな頑張ろう」的励ましソングじゃ、涙は出ないッス…。


ヘドウィグが最初に登場するとき(Tear Me Down♪)
彼は対立するもの(男と女、西と東、天と地…みたいな)の間に立つ、
壁であり、橋でもある…みたいな歌詞があったと思うんですが

この対立構造が、そもそも日本の文化ではあまり描かれないし、
対立を回避し、融和する方向を尊重するってことは、
ドギツイ自己主張は好まれないってことで、
そうなるとヘドウィグの居場所は…ない。

日本では

「まあまあ、いいんじゃないの、ちょっとくらいヘンでも」
「痛いところを突いたりしないで、やさくし見守ってあげようよ」

という、見せかけの融和がすぐに進行してしまうわけです。

つまり、アングリーインチの、アングリー(怒り)が、
日本では去勢されちゃうような気がするんですよねー。

…って、話が余計にややこしいんだけど(笑)


それが今回の舞台でも、しっかり現れているというか、
どうも山本ヘドウィグは、アングリーって感じじゃないんだよね(ルー語かい!)

しかも、今回の舞台では、その「アングリーインチ」について、
ちゃんとした説明がないから、この舞台だけしか知らない人は、
何がどーなって「インチ」になってるんだか、よくわからないだろうし。

えげつない話なんだけど、そこをしっかり語らないと、
ますますぼけちゃうんだよね、ヘドウィグの怒りの焦点が…。


その深い怒り、身を切り裂かれるような思いに共感した上で、
彼がそれでもなお、人を愛そうとする…自分を愛そうとする、
そのいじらしさ、みたいなところが山本ヘドウィグでは
いまひとつ表現しきれていないような。

だから、食い足りないままで終わってしまうような…

     …って、そんなに食い足りないなら、観るなよ~! ( ̄▽ ̄; 


てなわけで、いろいろ考えたヘドウィグでした。

山本さんには、引き続き舞台を頑張ってもらいたいです!
by redzinger | 2008-04-06 00:40 | ☆文化系